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著者の本音

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TOP > 西野博道氏のページ3

踏み倒さんでよ

西野:通販会社に納入するのは初めてだったんですね。普通の会社でしたらコンピュータが1日動かんでも、なんとかなるんですけど、通信販売の場合はコンピュータが動かないと、どうしようもないんですよね、1度切り替えたら。要するに受注はできない伝票出ない、全ての業務がストップするんで、帰れなくなったんですよ、最初のうちはなかなか上手くいかないんですよ。
なぜか私が下関に帰るとストップするんですよ。そうすると「西野さん、また動かんから来てよ」と。
結局、寝泊りしましたよ、会社に。
私も借金があったので会社に寝泊りしたら水道光熱費がかからないから、まぁいいかなと。
そこで宣男社長に白状したんですよね、実は1億ぐらい借金があるし、破産しようと思っていると。
そうしたらものすごく怒られましてね、借りたものは返さないとダメなんだと。明細ちょっと持っておいでと言われて。幸いに松下電器のコンピュータを取り扱っていて松下に5、6千万円あったんですよ、松下の手形をジャンプしていたんです。あとは銀行系があったんですけど変なサラ金からは借りてなかったんで良かったんです。松下の分は金利がかからなかったんですよね。銀行金利が8%ぐらいの頃でしたかね。
ちょうど平成5年、6年ぐらいのから銀行の貸し出し金利が急速に下がり始めました。借り換えんと返せん、それで借り換えようとなって、でも1億円借金ある人に貸してくれる人があるわけない。
そうしたら「俺の自宅を担保にするから踏み倒さんでよ。」と担保にしてくれて全部借り換えましたよ。だから下関の銀行から福岡の銀行に代えて、金利を払わないといけないところから先にどんどん返して、でも返せないですよね、1億円ともなると。だからどうするのかってことになって

ちょうど「やずや」の年商が5億円、10億円、15億円となって出荷がなかなか追いつかなくなって「西野君の奥さん何しちょるねぇ」と聞かれ、専業主婦と答えたら「奥さんに出荷してもらおう」となって、電話回線繋いで下関で女房と数人のパートさんで青汁やその後のにんにく卵黄を出荷していたんです。

女房が大体1ヶ月で100万円から120万円、僕が給料で120万円合わせて  240万円ぐらい毎月返して年間で2500万円ぐらいだから比較的トントントンと返して、だから宣男社長の家の担保も何年か後にすぐに外せました。
それじゃないと返せないですよね、普通では。

叱られないのはプレッシャー

西野:宣男社長が家を担保にしてくれたこともあるんですけど、やはり人としてというか人生の生き方を教わりました。
毎朝、7時半から8時半まで会議するんですよ、社員が来る前に。会議と言うかミーティングですよね。
「西野君、もっといろんな人の話聞いたほうがいいよ」っていわれてセミナーに行くんですよ。セミナーに行くと必ず、あくる日の朝のミーティングで、昨日のセミナーを聞いて今日からやることを言わなければいけないんですよ。今日から行動に移すことを発表するわけです。やってだめだったらやめればいいわけですよ。
いくらつまらない話でも何かあると。必ず何か持って帰る。
これをずっと1年、2年続けて、自分が聞いたことをどう実行に移すか考える習慣がつきました。
それと答えを言わない人でした。何か聞きに行っても逆に質問されるんですね。ずっと聞いてくれるんですよ。そうなると自分の意見、やりたいことが引き出されますよね。「それでどうするの、こうなった場合どうするの」みたいに質問して、自分の中に秘めていたものをどんどん引き出してくれるんです。
あと、上手くいったらものすごく、大袈裟なぐらいに褒めてくれるんですよ、「すごいじゃないの」みたいに。それと失敗しても絶対に怒らないですよね、だから僕は宣男社長に仕事で怒られたこと無いんですよ。
いろんなことやれば失敗しますよね。失敗した時の方がニコニコしますよね。(笑)
「西野君、失敗したね、これからどうするの」みたいな、だから逆に叱られないのはプレッシャーですね。叱られた方がその場で終わりますからね。がぁっと言われて、すみませんと。すみませんでは終わらないですからね。褒めるってすごくいいなと思いました。
だからこそ失敗したのを隠したりするとやかましいですね。叱られないんで隠すことは無いんですけどね。失敗したら「次どうするの?じゃ、そうしよう」と、失敗したことでぐじぐじ言う人ではないです。これは美世子社長も同じですね。これはもう「やずや」の文化ですよね。失敗しても叱らない。
もともと販促というかチラシでも10種類か20種類うって、あたるのはひとつぐらいですから。失敗の中に成功があるっていうか、いろいろやるとつまずくし、転ぶんだと、それは経営計画書に書いてあるんですよね。
歩けばつまずいて転ぶんだ、それを恐れて椅子にずっと座っている人は「やずや」ではいらない。つまずいて転んでもいいから歩きなさい。
そういうことをずっとしゃべっていますから、会社の社長というよりも師匠ですよね。
人生の師でしたから、そういった意味で少しずつ惹かれていたんでしょうね。
でも自分では、何で惹かれていたんだか良くわからないんですがね。

惚れる対象がいないってことは、ひょっとしたら幸せ

山崎:最近、男が男に惚れるって本当の意味ではあまり聞かないかと思うのですが

西野:福岡では結構ありますよ。「矢頭宣男に学ぶ会」っていうのも宣男社長が亡くなって10年ぐらいなりますがまだ100人ぐらいで自主運営していますから。昔、宣男社長が書いたものを読んでこれはどういう意味だろうかねと。
東京には、いないかもしれないけどね。

山崎:誰でも、西野さんにとっての宣男社長のような人を見つけられるものでしょうか?

西野:見つけられると思いますよ。自分が非常に上手くいっているときは自分が大将ですから、そういう時はなかなか見つからんかもしれませんね。見つからんとしたらひょっとしたら幸せなことかも知れませんね。いわゆる「惚れる」ということは、自分が何かなし得ないことを、この人と一緒なら何か実現できそうな予感だと思っているんですよ。それが上手くいっているときは自分の考えがもう、その予感なわけでしょう。俺がやれば上手くいくんだみたいな。僕も昔そうでしたから。ひょっとしたら、そういう時は、自分が惚れる対象者はいないかもしれないけど、自分の周りで自分に対して惚れているという人がいるんじゃないでしょうかね。
惚れる対象がいないってことは、ひょっとしたら幸せということかもしれないですね。
人生というのは、波がありますからね、ずっと上り調子の人もいるでしょうけど
だいたい人生はバランスですから、若い頃上手くいけば、ちょっと歳をとって挫折があるし、若い頃苦労すれば、歳をとってから上手くいくことが多いですからね。
まぁ、いずれ現れると思いますよね。

山崎:僕も44歳まで、まだ何年かあるのでそれまでには

西野:そう男は44歳で変わると思っているんですよ、そう、「44で男に」みたいにね。

本当に自分がやりたいことが見つかってきた

山崎:トップでいた方が宣男社長に出会い、ナンバー2、補佐役になられたわけですか、どのようなことを感じられましたか。

西野:僕はね、24歳で事業を始めて20年ちょっとトップをやったんですね。宣男社長と一緒にやってトップよりナンバー2がすごく良いなと思ったんですよね。
そういう対象がいたからということもあったんでしょうね。
本来トップは戦略的に遠くを見なくてはいけないんですけど、意外と中小企業の場合はトップほど足元を見ているんですよね。資金繰りとか今日の儲けとか。ナンバー2の場合は、そういうことを考えなくていいんですよね。思いをぐっと高めればあとはトップが責任とってくれますから。ああ、ナンバー2とはすごく楽なんだなと。そういう意味では自分の信念で動いていける。トップはなかなかそういうわけにも行かなくなるでしょう。上手くいっている時は、信念どおりにいけるけど、ちょっと挫折があると、自分の信念を殺してでも決断しないといけないことがあるわけですから。
「やずや」に入って本当に自分がやりたいことが見つかってきたかなと。

山崎:トップでいたときはやはり「トップがいいな」との思いがあったのですか

西野:そうです、そうです。周りが社長、社長言いますよね。特にまだ30代の後半で社長と言ったらもてますよね、女の子にも。またあの当時はバブルですから、事業もやりたい放題ですからね。「俺は、社長をやるために生まれてきたんだ」と思っていましたね。
その当時財布には、いつも100万円ぐらい入っていましたね。鼻息も荒いですし、自分が憲法みたいなもんですよね。俺がやるんだからうまくいくんだと。そういう時は、もう下り坂ですよね。俺がやれば上手くいくと思い始めたときは、下り坂です。反対に苦しんだと思っている時は上り坂でした。まあ、両方経験できて良かったと思います。
ここ3、4年は、株式会社未来館でまた社長をやっているんです。社長といってもオーナー社長で無いから実質ナンバー2みたいなものですよね。ただ、代表取締役なので全て任せていただいています。株主は美世子社長ですから全て報告しなくてはいけないですからね、ただ、事後報告で良いだけで。
好き勝って、やり放題でない、そこがいいですよね。好き勝手やり放題だと男は道を間違いますよね。どっかひとつでも歯止めが無いと。例えば怖い奥さんがいるとか、なんか怖い人がいないと上手くいっている時は歯止めが利かないですよね。

山崎:その当時は気付かなくて後で振り返って気づくことが多いわけですね。

西野:そうですそうです。やっている時は楽しいですからね。上手くいっている時は、お金は入ってくるし、人は社長、社長と言ってくれるでしょう、なんて俺はすごいんだろうと。
でもね、人って言うものは不思議なものでお金がなくなるとサーッと去っていくんですよね。もう本当見事です。お金がなくなっても付き合ってくれる人とは、いまだに付き合っていますよね。だいたい8割はお金がなくなると去っていきますよね。まぁ去らざろうえないのでしょうけどね。私の周りにいたら、金をむしり取られると思われていましたから。

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