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企業が100年続くことは大変
山崎:30億円の時が一番楽しいと宣男社長が仰って、今は、その10倍を超えていますが楽しさは違いますか。西野:やはり、30億円の頃は本当に楽しかったですね。上が見えるじゃないですか、高い山がいっぱい見えるわけでしょ。今は、ある程度登ってきていますから、「登りきった感」があるんですよ、だから怖いですよね。
我々もそうですが社員も保守的になっているんですよ、この山を下げてはいけないと。昔は上が、いっぱいありましたから、あれも良いね、これも良いねと。今は逆にみんなに見られている。
お客さんの目がそうですからね、30億円のときにはクレームになっていないことが
「何でやずやさんなのにこんなことしてくれないの」
「何でやずやさんなのにこんなことするの」
「何でやずやさんなのにこんなこと気付かないの」
期待値がものすごく高くなっている。落とせないからどうしても保守的にならざるを得ない。しかし、30億円でずっと横這いっていうのも難しいですからね。
横這いしだすと下がってきますから、我々の業界は。横這いするということは新規を取らないこと。新規をとらないと1年ぐらいは横這いですが、後はずるずる下がってきます、利益は残りますけど。そういった会社は、いっぱいありますから。
いくら30億円が良いといっても30億円じゃ横這いだから、難しいなって。
上を見たらきりないでしょ。30億円の次は50億円、100、150、200と限りなく登らんといかんわけでしょ、止まるとなんか言われるので。
企業が100年続くことは大変なことだと思うんですよ。
「やずや」の価値判断
山崎:書きたいことが、たくさんありすぎて本1冊にまとめることは、かえって難しく無かったですか。西野:そうでも無かったですけどね。通販の仕事は、はたから見ると派手ですけど、実際コツコツ同じことの繰り返しなんですよね。ある意味単調なんで書くことがありすぎるということは無いですね。
山崎:「やずや」の基本となる、宣男社長の思いがまとめられているので、社員の方は、皆さん、しっかり読まれているわけですね。
西野:やずやに入ると1冊渡されて、読んで感想文を書かされるみたいですよ。
山崎:今の方は、「やずや」を知っていて入社されるのでしょうが、「盛栄術」を読むことでより一層、理解が深まりますね。
西野:今の人は、知らないんですよね、昔は小さな小さな会社だったことを。
山崎:そういう意味では、企業文化、風土が浸透する、受け継いでいくには適したものですね。
西野:そうだと思いますね。宣男社長というある意味、天皇ですよね、象徴みたいで。生きていないから、そういう意味では伝えやすいんですよね、生きていないから悪いところが見えないですよね。
何をやるにしても宣男社長だったら、こういう場合どういう判断をするだろうと、「やずや」の価値判断になっている。
山崎:会社としてのブレはなくなりますね。
西野:そうです。今、生きている人だったら、時として思いが変わってくるじゃないですか。先月はこう思っていたけど、今はもう少しこうかなって。まさにブレがないですよね、もう亡くなっている人なんで。
基本的には「盛栄術」で判断していますからね。書いているからブレないですよね。
人が言うことは、そのときの言い回しで、なんとなく微妙に変わってくるでしょう。
美化したり、少し悪く言ってみたり。
山崎:「やずや」の憲法のようですね。
西野:そうですね、憲法に近いかな、そういう意味では良かったかな。
世代交代するときには、2代目のナンバー2が先代のことをきちっと書き上げていくと2代目もやりやすいでしょうね。
山崎:いきなり2代目に引き継ぐよりも文化風土を引き継ぐクッションになるわけですね。
西野:文化風土を引き継ぎつつ、それに2代目がプラスアルファしたり、いい意 味で変えていったりすると良いですね。
目標のプラスマイナス5%以内
山崎:「やずや」には、「魔法の書」といわれる経営計画書があり、経営計画発表会を行っていますが、これは社員の方がまとまるのにもかなり有効なのでしょうか。西野:そうです。今は、経営計画書はまず、美世子社長が2ページほど、社長の思いを書くんですよね。これはもう方向性だけです。
今期でしたら、うちも公取委に摘発されていますから、「2度とああいうことのないようにしよう、今まで当たり前と思っていたことをもう1度見直そう。今期は売上はもういいよ、ゆっくりしなさい。」
そういう思いが2ページぐらい書かれているんですよね。それに基づいて、3、4人の経営層の役員がもう少し具体的に落とし込んでいき、それを20人ぐらいの現場のリーダーがより具体的な目標値としていく。
山崎:作る段階から全社員に浸透していくわけですね。
西野:そうです。5、6人ぐらいのチームで1ヵ月半から2ヶ月で作り上げて発表会をするんです。
山崎:「やずや」の皆さんはそれを楽しんでいると。
西野:プレッシャーも無く楽しんでいます。発表する時はきちっとやりますけどね、その後ドンちゃん騒ぎをやりますしね。ひとつの大イベントです。
山崎:計画を振り返る作業は、どのような形で行われているのですか。
西野:毎月「100研」という検討会があるんですよ、そこで1時間かけてチームごとに達成度合いを自分達で数値化して振り返る。
「やずや」の場合は目標のプラスマイナス5%以内にいくような目標を作りますし、いくようにしています。
あまりピンとこなかった
山崎:西野さんと宣男社長は「男が男に惚れる」という表現が合っているのですが、その辺の思いをお聞かせいただけますか。西野:本にも書いておりますが、私は借金王、1億円ぐらいの借金がありましたから、その中で地獄の中の仏様みたいな感じでした。
山崎:出会われた瞬間にひらめくものがあったのですか。
西野:いや、そのときはひらめくものは無かったですね。当時、私は下関にいたのですが、福岡の中小企業同友会に入っていました。そこで会員を増やしたら福岡県で私1位になったんですね、その表彰式に福岡に行ったんです。福岡ですから周りの方を全然知らないです。そこでぽつんとしていたら、宣男社長が声を掛けてくれてコーヒーを一緒に飲んだ。初めは、そこで終わったんですね。
そのとき、熱く語っていましたけど、あまりピンとこなかったですね、いい人だなというぐらいで。
その後、遊びにおいでよといわれたので、福岡に行った時に寄ったら、今の美世子社長がまだ店長と言われていた時で、昼前に行くとラーメン出してくれて、ああ奥さんもいい人だなと。(笑)
「やずや」も年商2億円ぐらいの頃ですね。年商が3億円、4億円となったときにコンピュータ入れることになったんです。
「そういったら、西野さんはコンピュータ屋さんだったよね、下関なんで無理かもしれないけど、見積もりするねぇ?」「しますします」って。
「やずや」はその当時コンピュータが1台も無くって、全部手書き、送り状も、お客さんのDMも全部手書き、だから社員の人は腱鞘炎ぎみですよね。暇さえあれば宛名を書いていましたから。昔はどこも、そうでしょう、送り状書くのは当たり前みたいな。
だからそこでコンピュータを3台入れたいと。社員8名ですからね、3台あれば、いいだろうと。たまたま、私が受注できたんですけど、その当時、私は借金で火の車ですからね、金利だけで1ヶ月100万ぐらいあるんですからね。

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